人生めも

戯言

2.26

会社からの電話に目覚める。出たくない、出なければ。葛藤しながら携帯の緑のボタンに触れると機械音が聞こえる。すぐに掛け直す。運悪く、通話中に設定していたアラームが鳴る、朝からやってしまった。15時に約束を取り付け、逆算して、まだ数時間眠れることに喜びを感じる。友達からツイッターにリプがきている。読めば、ライン見て、とのこと。ラインを開けば事の詳細がかかれている。アパートの見学についてきてほしい、とのことだった。会社の用事が済んだら合流することにして、再び布団に潜る。

あまりの寒さでストッキングではなく、黒タイツを履いた。ストッキングは厳しい。スーツに黒タイツで許してほしい。会社へ行けば用事は五分で終わったので、友達がくるまでスーパーで待つ。待っている間に、友達と自分の飲み物と、安くなったアンパンマンのバレンタインチョコを買う。彼女はきっと今、一番忙しく大変だろうから、少しは休めよって意味も込めて。迎えに来た友達の車へと乗り込み、ナビしながら不動産屋を目指す。
不動産屋の扉を開けば、人の良さそうなお兄さんが一人で会社を回していた。親身になって考えてくれる様子から、友達も安心したような表情で話している。私が彼女を尊敬するのは、年上の方と話をしていく時の距離感と言葉遣い、怖気のない態度だ。そして何より必ず感謝の気持ちを言葉に示すところは、聞いているこちらも暖かい気持ちになるし、彼女が愛される理由のひとつであると感じる。案内役の面白いおじさんとも仲良くなり、ある程度部屋も決まった。面白いおじさんは「家賃に安いも高いもない。築年数や使い勝手の良さから全て統計に基づいてある値段であり、その値段に相当する価値があるものなんだ。値段の低さ高さの差はあるが、安い、という概念は無いのだ。」なんてことを教えてくれた。「ファッションにおいて、ブランドの鞄は、ブランドの名前にお金を払っているようなものだが、私はルイヴィト◯よりも何よりも、その素質に趣を置いてそのものに価値のある◯◯カバンの方が好きだからね」なんて言いながら、彼のポケットから出された免許証ケースはルイヴィト◯だった。ユーモアのある人、私は大好きです。

面白いおじさんからカルピスを頂いて、缶を握りしめながら挨拶して帰る。なんとも楽しい時間だった。

彼女の新生活が素晴らしいものでありますように。