人生めも

戯言

2.20

目を開けたら、時計の針は既に午後14時40分を指している。少しの眠さと、1日を無駄にしてしまった後悔に襲われながらもすぐには布団から顔を出せない。寒さで冷たくなった鼻をさすりながら携帯を右手で探し出す。大抵は枕の下に入っていることが多い。ラインとツイッターのリプを確認しながら、嗚呼今日は誕生日だったと気付く。誕生日とはいえ、特別なドキドキ感やハラハラ感はない。ひたすらネットサーフィンをしながら、少しずつ目を覚ましていく。あれ、今日何時集合だったかな。3人のラインを遡れば、18時30分にお店予約したよ、という文字。時間を逆算しながらストーブをつけた。そのまま一階へ降りて、いつもの棚からカップラーメンを見つけ出し、お湯を入れる。母に、荷物届いてるよ、と言われたので3分待つ間にそれを確認する。見覚えのない小包には、私の名前、宛先には友達の名前があった。開いて見れば、そこには、目が悪いんだからちゃんと眼鏡持ちな、というメッセージ。誕生日プレゼントだった。驚きと嬉しさと少しの照れ、今日は良い1日になる予感がする。なんだか胸が高鳴る。普通、カップラーメンは3分待つが、固めの麺が好きな私は2分で蓋を開けて食べ始める。シーフードはやっぱり美味しい。食後にはおいだきボタンを押して、脱衣所へ向かう。服を全て脱ぎ捨てて、暖かくなりつつある湯船に入る。自分の匂いと肌と髪を清潔な状態にして人に会いたい。しっかりと温まって、大阪の疲労が未だ残る膝の裏の筋肉をやわやわとほぐしてあげる。しっかりと体と髪を洗う。最近買ったお高めのドライヤーて髪を乾かす。時計を確認すれば、時間がない。急いで化粧をして、髪を一応巻いてみる。天気が悪いから長くは保たないだろうな、と思いながらも一応巻く。だって今日は誕生日だから。私が何処で何をしようと、それは私だけが知っていれば良くて、私だけが今日誕生日であることを知っていれば良くて、私だけが既にぺっちゃんこになった髪をわざわざ巻いて来たことを知っていれば良い。右を通り過ぎる人も後ろを歩く人も誰も知らなく良い。今日私が22歳になったことも、この少しの胸の高鳴りも、全部私だけが知っていれば良い。

17時35分、友達に会うべく、私は高速バス乗り場へと靴を鳴らす。