人生めも

戯言

2.21

目を覚ませば、雨と風の音が聞こえる。あまりの寝相の悪さに布団の縦と横がひっくり返っているためか、足先が冷たい。昨晩お腹にホッカイロを貼って眠ればよかったなぁと思いながらLINEを開く。今日は18時30分に友達と待ち合わせをしている。同じ方向の電車に乗る子に、何時に向かうか問うと共に、乗り換え案内のスクリーンショットした画像を送る。寝返りと文字をひたすらに打つ。16時前の電車に乗ることになった。まだ少し眠れる。アラームをかけて再び睡魔の世界に吸い込まれた。目を覚ませばアラームを設定した時間よりも程遠かった。ただ余裕はあったため、ゆっくりと化粧をはじめる。お腹は空いたが、既にお昼ご飯と呼べる時間でもなかったから、夕食まで我慢することにする。案外時間無いかも、急いで駅に向かう。駅に着けば友達が待っていた。電車に乗ってたわい無い話をしていたら、スイカをピッするのを忘れたことに気付いた。無人駅は困ったものだ。再び話を展開させながら、あっというまに45分が過ぎ、目的の駅へと到着。忘れ物をしがちな私を一番よく理解する彼女は、私の傘をしっかりと持つ。駅員さんに事情を話して駅の外に出た。今日は、Threeのリップジャムを見に行く予定だ。目指すはデパコス。デパコスに行く途中、遊ぶ予定の友達と出会った。偶然とはとても面白い。Threeのリップジャムは、思っていたよりもしっくりこなかったようだ。私はフラフラと高い化粧品の中を歩いた。待ち合わせをした場所へ向かい、お洒落な建物の扉をぎこちない手つきで開く。アボガドが美味しいお店で、前に一度来たことがあった。5人で椅子に腰掛け、メニューを見る。まずは生ビール。空腹だったため、ビールは抑え気味に飲む。悪酔いは良く無い。酒は飲んでも飲まれるな、つまり、そういうことだ。コースで頼んでいたらしく、次々とおしゃれなものたちが、運ばれてくる。あぁ、美味しい。キノコが美味しい。ビールと良く合う。湯葉と海苔で巻かれたカニとマヨネーズに、わさび醤油を付けるのが凄くおいしかったから、是非ともカニカマで作ってみたいと思う。就職のこと、職場のこと、これからのこと、いろんな話に花を咲かせたり、たまに、下品な話なんかもしながら楽しい時間を過ごす。ラストのようなパスタを、食べ終わり、
友達がトイレに立とうとした瞬間、聞き覚えのあるお祝いソングと共にテーブルにケーキが運ばれてきた。プレートにはHappy Birth Day 。2月生まれの3人の名前がチョコレートで綺麗に描かれている。
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なんて嬉しいことなの!今年の誕生日は、家族で祝うこともケーキを食べることも無く、淡々と過ごしていくのだろうと思っていたから、凄く嬉しくて、もう22歳だけど、恥ずかしくなった。プレゼントは、みんな良く私のことを見ているんだな、と感心するような、私の好きなものばかりで、全部まるっと愛おしくなる。

甘いケーキを食べる私の顔は、きっといつもと同じような顔ではあったと思うけど、気持ちはふにゃふにゃでなんて幸せなんだと嚙み締める思いで、いっぱいだ。顔に出すことは、凄く恥ずかしい。嬉しさも悔しさも悲しみも恥ずかしいことだ。それでも、こういう時には、そういう気持ちを素直に声に出して言いたい。恥ずかしくてくすぐったくなるような言葉も言ってしまいない。ありがとう、全部大事にするね。今日は、凄くは嬉しい1日だった。嬉しいことも不安なことも嫌なことも楽しいことも面白いことも悲しいことも全て思うがままに話せる人たちを大切にしたい。誰にでも優しくするだけが、正解ではないよ。大切にしてくれる人だけを、私は特別に大切にしていきたい。なんでも話してくれる人にだけ、なんでも話してみたいと思う。

今日も一日お疲れ様。


2.20

目を開けたら、時計の針は既に午後14時40分を指している。少しの眠さと、1日を無駄にしてしまった後悔に襲われながらもすぐには布団から顔を出せない。寒さで冷たくなった鼻をさすりながら携帯を右手で探し出す。大抵は枕の下に入っていることが多い。ラインとツイッターのリプを確認しながら、嗚呼今日は誕生日だったと気付く。誕生日とはいえ、特別なドキドキ感やハラハラ感はない。ひたすらネットサーフィンをしながら、少しずつ目を覚ましていく。あれ、今日何時集合だったかな。3人のラインを遡れば、18時30分にお店予約したよ、という文字。時間を逆算しながらストーブをつけた。そのまま一階へ降りて、いつもの棚からカップラーメンを見つけ出し、お湯を入れる。母に、荷物届いてるよ、と言われたので3分待つ間にそれを確認する。見覚えのない小包には、私の名前、宛先には友達の名前があった。開いて見れば、そこには、目が悪いんだからちゃんと眼鏡持ちな、というメッセージ。誕生日プレゼントだった。驚きと嬉しさと少しの照れ、今日は良い1日になる予感がする。なんだか胸が高鳴る。普通、カップラーメンは3分待つが、固めの麺が好きな私は2分で蓋を開けて食べ始める。シーフードはやっぱり美味しい。食後にはおいだきボタンを押して、脱衣所へ向かう。服を全て脱ぎ捨てて、暖かくなりつつある湯船に入る。自分の匂いと肌と髪を清潔な状態にして人に会いたい。しっかりと温まって、大阪の疲労が未だ残る膝の裏の筋肉をやわやわとほぐしてあげる。しっかりと体と髪を洗う。最近買ったお高めのドライヤーて髪を乾かす。時計を確認すれば、時間がない。急いで化粧をして、髪を一応巻いてみる。天気が悪いから長くは保たないだろうな、と思いながらも一応巻く。だって今日は誕生日だから。私が何処で何をしようと、それは私だけが知っていれば良くて、私だけが今日誕生日であることを知っていれば良くて、私だけが既にぺっちゃんこになった髪をわざわざ巻いて来たことを知っていれば良い。右を通り過ぎる人も後ろを歩く人も誰も知らなく良い。今日私が22歳になったことも、この少しの胸の高鳴りも、全部私だけが知っていれば良い。

17時35分、友達に会うべく、私は高速バス乗り場へと靴を鳴らす。